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魚河岸の魅力をお届けします!

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仲卸インタビュー第4弾では、女性として築地市場の仲卸の世界に飛び込み、目利きから販売を行う仲卸ではなく、魚食普及をする「広報」として活躍されている「亀吉商店」藤田真央さんのインタビュー模様をお届けいたします。



■自己紹介:㈲亀吉商店/藤田真央(ふじた・まお)
前職は携帯販売会社でアドバイザーとして仕事に従事。
その後、アドバイザーとしての経験を活かし、創業94年の歴史を誇る「亀吉商店」に一昨年に新設された「広報」として、現在、魚食普及の活動を行いながら、築地市場の情報発信も行っている。


■広報として「築地市場」と向き合う覚悟。


- どうして「仲卸の世界」に入ろうと思ったのですか?


仲卸として働く前は、携帯販売会社のアドバイザーとして全国を飛び回り、全国のショップスタッフの方に新しい商品やサービスについて「分かりやすく伝え理解してもらうこと」を目的に、販売支援のお手伝いをしていました。
しかし、私自身、食べることが好きだったので、いつかは「食」に携わる仕事に就きたいと、心のどこかで想っていました。


そんなある日、家族が築地市場の目の前にある病院に入院し、毎日築地に通っていた時、たまたま、「亀吉商店」の事務員の募集要項を見て、面接を受けてみようと思ったことが「仲卸の門」を叩くときっかけとなりました。


- 仲卸という「未知の世界」に飛び込むことに抵抗はありませんでしたか?


正直ありました。当時受けた面接は築地市場ではなく事務所内で働く事務員の募集だったのですが、亀吉商店の社長に「あなたは事務員には向いていない」と言われ、その場で落とされてしまいました。
しかし、私の経歴を見た社長に当時はなかった「営業企画・広報を新設するから僕と一緒に魚食普及の活動をしていかないか」と言われ、亀吉商店で働くことになりました。


面接での出来事は今でも覚えています。


私自身「食」への興味・関心はあったものの、「魚」のことは知らないことが多く、仲卸として働くことへの不安はありました。しかし社長がとても熱心に、回遊する魚や仲卸業について教えてくれるうちに、どんどん探求心が沸き始め、気がつけば不安や時間を忘れるくらい話をしていたことを覚えています。


社長の話すことすべてが、今まで知らなかったことばかりで、もっと知りたいという興味と感動から、教えていただいたことをもっと知らない人へと伝えていきたいと想い、「営業企画・広報」として働く決心をしました。


- 築地市場の仲卸として働き始めて感じたことはありますか?


現場に入り感じたことは、築地市場に関して情報発信の場がほとんどないことです。それは、仲卸として働くまでは、一消費者としても感じていた部分でもありましたし、実際に「築地市場という名前は聞いたことはあるけど、築地市場にはどういった人達がいて、どういう情報が眠っている」かは、築地市場で働く人達しか知らないのだと感じました。


消費者の人達が喜ぶ情報は、そういった世の中に知られていないプロしか知らない情報だと思っていたので、アドバイザーとして働いていた頃の経験を活かして、「亀吉商店から築地市場に眠る情報を発信していこう」と思うきっかけにもなりました。


■活動できるのは「築地市場」で働くみんなのおかげでした!



- 広報として初めに取り組んだことはどういったことだったのですか。


そもそも、仲卸業をはじめ、魚に関する知識が一切なかったので、終電で築地市場に向かい、仕入れ(目利き)から販売までの流れや魚の扱い、捌き方を学びました。その後は「※おさかなマイスター」という魚に関連する資格の取得に向け勉強する毎日を送っていました。


※おさかなマイスターとは、生活者に魚のことを伝え、おいしく食べてもらうための「伝道師」として活動し、魚食普及の担い手として社会貢献に努める人。おさかなマイスターの取得には最低2年以上の水産や調理・飲食に関わる仕事に従事していることが条件のため、通常の資格とは違い、実務経験が求められる。
(参考:日本おさかなマイスター協会: https://goo.gl/AhXZBP)

また、亀吉商店だけでなく、他の仲卸から実際に魚を買って話を聞いたり、競り人やお客様からも魚の美味しい食べ方や魚に関する情報を、教えてもらうなどして、魚に関する知識と活動の範囲を広げていました。
広報として仕事をしていくためには、現場で働く仲卸の人達の生きた情報を自ら得ることが重要だと思っていましたし、「築地市場の仲卸人」として生半可な気持ちで仕事はしたくはないと思っていました。


こうして「広報」としての活動ができているのも、築地市場現場の仲卸の方々の支えがあるからだと思っています。


■魚をもっと「身近な」ものへ。



- 広報として具体的な活動について教えてください。


現在は販売支援調理教室情報配信を主に行っており、例えば、朝市場で仕事を終えた後、お客様のお店で販売支援のお手伝い、午後から調理教室の開催やそれに必要な情報配信といった形で行動しています。
販売支援については、お客様のお店に伺い、消費者に自ら鮮魚の販売をしています。現場で働く仲卸の人達は、消費者との接点を持つ機会がほとんどないので、消費者に一番近い場所で、仲卸だから伝えられる、調理方法や魚に関する知識などをお伝えしています。


私が直接販売をする際には、「築地市場の仲卸が販売します!」と、お祭りっぽくお知らせをすると、消費者の方がたくさん集まってくれますし、集ってきてくれた消費者の方々の中には、簡単にできる調理方法をお伝えすると、喜んで魚を買っていってくれます。
しかし、私自身、毎日販売活動ができる訳ではないので、反応が良かった魚に関しては、販売員の方に「この魚を販売する時にはこうやって声をかけてみてください」などとお伝えをし、私がいなくても消費者の方との接点を持っていただけるように活動しています。


他にも販売支援だけでなく、消費者の人達向けに「おさかな調理教室」を行っており、特に力を入れて活動しています。
現在、若い世代の人達は魚より肉の消費が増えており、魚食文化と言えば、「魚は外で食べる」ということが主流になっています。家で食べることがあっても、塩漬けされたり加工済みの切り身をスーパーなどで買ってきて焼くだけなど、家庭で魚に触れる機会がほとんどなくなってきています。


販売支援を行っている中でも感じたのは若年層になるほど、魚に関する知識や調理方法が分からない、といった原因から魚に触れようとせず、魚を家庭で食べる機会が減っていることです。
なので亀吉商店が開催する「おさかな調理教室」では消費者の人達のそういった原因をなくしていくことを大きな目的としています。


- 「調理教室」では具体的にどういったことをされているのですか。


亀吉商店ではあえて、「料理教室」ではなく「調理教室」として活動し、レシピ通りに料理していただく訳ではなく、下処理に力を入れて、できるだけ参加者の人達に「魚」に触れていただくことを一番意識しています。
一般的に行われている「料理教室」では、食卓に並ぶ料理をイメージしているため、予め、食材や調味料の分量分けがされており、参加している人達一人一人が「丸一尾(魚まるごと一匹)」捌けるとは限りません。
亀吉商店の「おさかな調理教室」では、参加者の人達一人一人に必ず「丸一尾」捌いてもらっています


また、「おさかな調理教室」では必ず、調理する魚の絵を描いて、「この部位にはこういった特徴があります、こういった栄養があります」など、おさかなマイスターの資格を活かし、普段知ることのない情報を伝え、参加者の人達により魚に関心をもっていただけるように意識して行っています。
講義を通じて感じことは、鯛や平目などの高級魚だけでなく、鯵(アジ)やイワシなどの庶民的な魚の人気も高く、参加してくださっている皆さんは知識がないだけで魚への関心は高くもっと魚食を身近なものにしたいのだと気づいたきっかけでもありました


「おさかな調理教室」の最後には、参加者の人達にアンケートを書いていただいているのですが、嬉しいことに、「はじめて魚に触った、達成感があった、もっと違う魚を捌いてみたい」などのお声をいただいおります。


また、参加者の人達の中には、リピーターの方も多くいらっしゃるのですが、「調理教室」に参加してから、家庭で魚に触れる機会が増えたという方も多いので、今後は今以上活動範囲を広げていき、少しずつでも家庭で魚に触れる機会を作っていければと思っています。


■これからも「魚の広報」として、歩きつづける!



- 今後の藤田さんが行っていきたいと思う、活動について教えてください。


これからは、若い世代の人達に対し、もっと「魚を身近なものに」感じてもらうこと!


「おさかな調理教室」に参加していただいている人達の中には、主婦の人達や年配の人達が多くいらっしゃるのですが、私個人の想いでは、これから結婚・出産・子育てを控える若い世代の人達にもっと参加していただきたいと思っています


魚に興味を持つ、若い世代の人達が増えていけば、魚食文化を次世代に伝えていくことができます。
築地市場には若い世代の人達に興味を持っていただける情報が数多くあります。例えば、マグロのセリが行われている様子、築地市場でしか見ることができない珍しい魚、関係者だけしか見ることができない場所や築地市場だから得ることが出来る知識など数多くあります。


インターネットが普及している現代に、これほど情報があるにもかかわらず情報発信できていない場所は東京で築地市場だけなのではないかと思っています。
「広報」として、築地市場に眠っている情報を若い世代の人達に合わせ「おさかな調理教室」をはじめ「Facebook」や「Instagram」といったツールを活用しながら、情報発信していきたいと思います。
「築地市場、魚をもっと身近なものに」感じてもらうため、これからも「仲卸人・おさかなマイスター」として活動し続けていきたいと思っています。


藤田さん本日は本当にありがとうございました!


■「亀吉商店」の情報はこちら
Facebook:https://goo.gl/7m1D24
Instagarm:https://goo.gl/MrwxQq


■インタビューを終えて



藤田さんは、現場で働く仲卸の方に比べて、消費者との距離が一番近い所で仕事をされています。そんな藤田さんから、現在の消費者の考えを多く学ばせていただきました。
「消費者のことを考え、魚の魅力を伝える。」という点で、
藤田さんの、今後の活躍を応援していき「魚をもっと身近なものへ。」できるよう、僕自身お手伝いできればと思いました。


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